
テストリポート
最もこのレンズに関して、マイクロレンズのような物撮りができるというところまで期待しているわけではない。何しろズーム比11倍という化け物のようなレンズなのだ。それがAPS-Cサイズに特化する事でここまでコンパクトに仕上がっているのだろう。(写真を見ると24~120VRと比較してほとんど大きさに差がないのが分かるだろう)重さは24〜120VRが575gであるのに対して560gとほんの少しだが軽く仕上がっている。のだから、スナップ、ロケのサブ、そんな使い方を想定している。しかしどんなところでどのような要求があるやも知れないので、使用しているレンズの特性に関しては熟知しておこうというわけだ。そういうわけで解像感のテストは特になし。

私が購入したレンズには、いつもこのチャートを撮影し、ゆがみと周辺の収差をチェックしている。たいしたチャートではないが、格子の線はもちろんゆがみを見るため、周辺に置いた丸印は形のゆがみ、色収差を確認するためだ。ほとんどそれしか役目はないのだが…罫線を見ていると結構いろいろな事が見えてくる。


見事な陣笠のゆがみを持っている。周辺も色収差がしっかり出現しているが11倍ズームの最短域という事を考えればこれを思いきり攻めるのは的外れだろう。私的にはこのゆがみは陣笠ではなく、単純な樽型にして欲しい(Photoshopで修正できるから)のだが、Photoshopを使用しない場合はこちらの方がありがたい。色収差はNikon Capture 4で削除できるし…。罫線を見るとこれだけ細いラインをしっかり解像しているため、充分に写真として使用できる。


ここでいきなり球面収差が消えてしまう。私の個体だけがそうなのか分からないが、24mm付近のゆがみも周辺の色収差も大きな問題となるような物ではない。というよりもよくぞここまできれいにまとめたと思う。多分このレンズのベストの焦点距離だろう。


30mm 近辺からは逆に糸巻き型の収差が発生する。しかし我慢できる範囲。色収差もさほど大きくない。周辺のゆがみも発生し出す。


35mmは少々球面収差が収まる。しかし、周辺に置いた渦巻きはさらにゆがんで見える。


ところが50mmではまた球面収差が大きくなる。ここが不思議なところだ。色収差はほとんどない。このあたりが最も糸巻き型収差が大きなところ。


ここでかなり糸巻き型収差は良好に修正されはじめている。端っこの渦巻きもいい感じになってきた。色収差はほとんど無くなっている。これ以上は焦点距離をあげていくとさらによくなる。

長焦点になるに従い、さらにに糸巻き型収差は激減する。やや陣笠傾向が残っているが、ほとんど気にならない。周辺の色収差も変形もほとんどない。

200mmではさらに収差が減少する。何だか不思議だが、イメージサークルが大きくなるにつれその中心部を使用する事になる。うまく設計すれば高倍率ズームでもゆがみ部分を最小に押さえる事ができるというのだろう。
総じて30mmから70mmに強めの糸巻き傾向が見られるが、それ以外は見事にまとめられている。35mmに換算すると、最広角側の27mmは陣笠傾向だが35mm前後は見事に美しい。50mmから105mmまでは糸巻き傾向があるが、150mmから300mmは充分に使用できる。とまとめる事ができる。
広角と長焦点側はズームレンズとは思えない程よくできている。標準域は収差が大きいが、そこそこ我慢できる範囲。標準域を犠牲にしたのは高倍率ズームは広角側と望遠側が良く使用されるという実態からはじき出された設計上のポリシーだろう。このレンズがこれだけであればそんなにうれしい事ではないが、約4段分のVRを積んでいるのだ。しかも最長焦点部分でもF5.6 という明るく(ズームレンズにしては)仕上げてある。という事はこのレンズが使用できるシーンが非常に大きくなる事につながる。
ISO200近辺でオールマイティに近いこのレンズの使用すると、撮影できないものはほとんどないといっていい。形に対してシビアな撮影では焦点距離によっては問題もあるが、違う意味でのシビアな撮影…状況が暗い、被写体が遠かったり近かったり、手持ちしかできなかったり、レンズを交換する暇も無いというような場合、いざというときの予備として、かなり点数の高いレンズだといえる。大きさも今まで使用していた24-120mmVRとほぼ同じ大きさ(重さは軽い)だ。これだけの仕様をこの大きさに閉じこめていることも評価点だといえる。

長焦点側では、ここまで延びる。11倍ズームであるから当然なのだろうが、ちょっと安っぽいという声もある。あたしもそう感じないわけではないが──まあ、いいんじゃないかと思っている。
実はこれはわたしが制作依頼したレンズなのだ。──
というとおこがましいが、NikonD2Xのインプレッションの時に、特に開放F値は明るい必要がないから、小型の(それもDCレンズで)標準域をカバーする、VRレンズが欲しい。もちろん合焦精度を考えれば超音波モーターで、可能ならワイド側18mmから望遠100mm程度。可能なら180〜200mmまであれば一本でスナップ撮影のほとんどをカバーできる、というものだった。通常は18〜100 mmがあれば問題ないのだが、結婚式などで入場口でかまえている時に、ちょっとだけアップを撮りたいシーンはよくあり、その為にいつも単体の200mmを一本ポケットの中に入れておいたり、サブカメラに付けていたりするのだが、これがズームで解決すると、かなりありがたい。何しろスピード感が違う。サブカメラに明るい標準レンズを付けっぱなしにできる。特に200mm側はどんな明るいレンズよりも、VRが付くか付かないかでその価値は「暗くく外だけで使用できるレンズ」と「明るく重いレンズ」に対して「軽く何処でも使用可能なレンズ」という大きなメリットの差があるのだもの。
このレンズは、私のリクエストそのままに製品化された。もっともあたしだけでなく、多くの方からも同じようなリクエストがあったのだろう。報道やスポーツの世界でも歓迎されるに違いない。もっとも11倍ズームというとんでもない仕様なので、広角側の陣笠、中間の糸巻きはそれなりにすごい。でもそれを補ってあまりあるものがこのレンズの価値として存在していると思う。
VRはさらに進化したVRIIにより、約4段分の手ブレ補正効果を発揮し、暗い場所での撮影や望遠撮影時に効果的だ。実際に撮影してみたが、200mm側のアップで1/60でも50%は確実に止っている。青地表示の部分は、D200レポートと重複していいますので、サンプル画像はそちらを参照してください。
言ってみるのは「ただ」だから、試しにもう一つつぶやいてみよう。同じくAPS-Cサイズで物撮り、モデル撮影に特化した50mm程度から150mm程のF2.8固定のズームレンズ。もちろんVRが搭載されており、最短は50Cm、周辺のゆがみは極力少なく、それで600g程度のヤツ…。いや、焦点域は65mmから130mm の2倍ズームでもいい!とにかくこんなズームで画質の高いレンズを12万円くらいで欲しいなあっと。思いの外売れるかもよ!。