Nikon Capture2を検証

既に皆さん使われているNikon Capture2だとは思いますが、パラメーターの数値や、根本的な使い方などのお問い合わせもあり、以前のNikon Captureと比べてどこがどう違うのか、アンシャープマスクのかかり方はどう違うのかなど、あくまで個人的にではありますが、いくつか気のついたことをまとめてみました。(私はけしてニコンさんのサポートセンターではないのですが)

既に広く知られている部分ですがホワイトバランスと追加RAW調整のダイアログの追加により、RAWデータの自由度は格段に向上しました。それにより撮影時、ホワイトバランスを気にする必要がほとんどなくなりました。(それでも確認できるグレイが画面上にあると後の作業が早いのは事実です。同じライティングであった場合、最初か最後のカットにグレイチャートを写し込んでおくとより確実です。)わたしの場合、RAWデータでの撮影は大型ストロボ使用時以外はほとんどオートホワイトバランスで撮影しています。結局Photoshopであろうが、Nikon Capture2であろうが、光源がくるくる変わるときは1枚1枚開いて確認するのは同じですので、Nikon Capture2上で追い込むことにしてしまいました。ここで追い込んでおけば後の作業はバッチに任せることが可能だからです。少しここで苦労すれば、確実な仕上がりが以前よりずっと早く手に入るのです。新しいNikon Capture2の速度は劇的には速くなりませんでしたが、G4/450クラスでは200Mbほどのメモリーで、十分に動作してくれます。(と私は感じています。早いに越したことはないですけども)

ちなみにハロゲンやタングステン光などの光源の場合はまじめに電球色に合わせるか、プリセットホワイトバランスをとるか、グレイを写し込む(これがもっとも多い)事にしています。オートは低い色温度には対応しないセッティングになっているためです。

-----キュムラスとNikon Capture2のパレットを全て広げるとこんなことになり、デユアルモニターでないと仕事する気になれない。モニターとビデオボードをもう1枚ずつ売ろうというニコンさんの陰謀かもしれない(でもモニターは作っていないか?)-------- 

さらに露出のコントロールもプラスマイナス2段可能になりました。何も安易に撮れるといってる分けではありませんが、失敗の確率が極端に少なくなったのも事実です。トーンカーブを完璧に使いこなせれば、このようなダイアログは必要ないのでしょうが、露出、コントラスト、シャープネスを簡単に確認でき、またトーンカーブの名人芸に近いコントロールをしてくれる露出補正は一度使ったらもう手放せないかもしれません。

わたしの場合、デフォルトは輪郭強調弱、コントラストノーマル、AdobeRGB、色合い調整3を基本設定に採用しており、この結果にほぼ満足しています。以前は輪郭強調無し、コントラストLow、を基本としてましたが、このバージョンになってから追い込んで見た結果、Nikon Capture2のコントラストノーマルに非常に近い状態になるということに気づきました。かなり“こなれたカーブ”に進化したようなので、今更、自分で追い込む必要もないわけなのです。しかも追加RAW調整を使えば、いつでも変更できるのですから。

ここが重要なのです。シーンによってはTIFF、JPEGで撮影することも十分にあるわけで、デフォルトの設定を其処に合わせてしまったのです。いちいち設定を変更せずに(TiFF,Jpegの場合は多少割り切って)撮影できるというのは結構、精神衛生上も大きなメリットです。どうせRAWデータですから、パラメーターは変更したければ、後からいつでも変更できます。

試しにかなりアンダーにとってしまった画像を補正してみましょう。ヒストグラムを見れば一目でわかる通り、悲しいくらいにアンダーな写真です。

これをまずおおまかに露出をコントロールし1と2/3絞りほど明るくします。かなり綺麗なトーンカーブを作らないとこうはいきません。

さらに階調を少し強めにするためにノーマルを選びました。

全体に緑に転んでいますので、マゼンタ方向に色相を回転させます。

これでほとんどの作業が終了です。トーンカーブだけで作業していたら結構時間がかかっているでしょう。

画面に期待できるグレイ、あるいは白がある場合には文句無しに其処をスポイトしましょう。シャツのストライプの白い部分をサンプルしてみますと、結構良い結果がでました。グレイポイントを使用することが決定的にカラーバランスを綺麗に補正してくれることは確実です。

しかしプリセットでおおまかに補正出来るのは大きな、そして便利になった進化であるのは間違いないことです。しかもその後の微調整まで出来てしまうのです。画面の中に確認できるグレイが存在しない場合は結構あるものです。見た目で追い込むにはこれ以上にやりやすい方法をわたしは知りません。

以下の三枚はスタジオ用のストロボで撮影したものですが、撮影時には自然光のままで撮影してしまったのものです。後からかなりの調整が効きますので、いくつかの方法でホワイトバランスを撮り直してみました。結果的には「自然光の晴天」がもっとも肌色は良かったのですが、バックとのバランスがとれていませんでした。布地の白をスポイトで拾い、グレイバランスをトって、肌色だけを追い込んだのがもっとも正解となりました。

輪郭強調は弱を基本にしているわけですが、RAWから拡大する場合もこれは有効です。そしてNikon Capture2のアンシャープマスクも以前と同じように画面表示がかなりPhotoshop上の表現に比べて“いきすぎた表示”になっています。画面でかかりすぎたなと思ったくらいが、結構丁度よいのです。これは御自分で何度かTIFFに展開して、Photoshopで開いてご覧になれば、すぐにコツをつかめます。(説明書にはアンシャープマスクは100%表示の場合は正確に表現されるとありますが、それでも私にはそう思えません)ここにNikon Capture2上の表示とそれをPhotoshopで開いた画像の比較を掲載しておきます。違いを確認してみて下さい。

2枚の画像を合成し、肌色を調整してみた。これがもっとも正解に近い。

Nikon Capture2になってから少々アンシャープマスクのかかり具合が大人しめになったように思われます。原因はLabのLチャンネルにかかるように改良された所為だと思われます。なるほどアンシャープマスクのかかり具合は以前に増して、美しくなった気がします。(しかし地味ではあります)わたしの場合ですが、アンシャープマスクの数値は総画素数が決まってますので、(物によりいささか変化させてはいますが)ほとんどの場合適用量100%、半径7%敷居値1〜2としています。肌物の場合、半径を3〜4%に下げることもあります。結果としては十分に質感のたった画像をえられ、後々変倍の可能性のあるデータの場合はこれ以上シャープネスを掛けないようにしています。ただし画像の大きさが始めから決まっている場合はさらにPhotoshop上で必要な量のアンシャープマスクを追加します。(これが一番綺麗です)

 新しい機能にバッチ処理がありますが、MAC/MAC間やPC/PC間では問題なさそうですが、PC取り込み、MAC処理になったときにいささか問題があります。これは以前のNikon Captureからそうだったのですが、PCからMACに書き出すときにデータがアピアーした瞬間にバッチがいきなり処理を始めるのです。データはまだ完全に閉じられていません(つまり完成していない)から、変なストライプの画像を書き出すだけです。早いとこ、この問題も修正して欲しいものですが、いまのところ他の問題の修正で忙しそうです。(もっとも根本的な部分はMAC OSにもありそうなので一概にNikon さんの所為ともいえないようです)わたしの場合はこの機能に多いに期待していますので、早くフィックスしてくれるように祈っています。また上書き保存(別名で保存ではなく)をするとNikon Capture2で読めなくなってしまう(ということはいかなるソフトウエアーでも開かない)点、ファイルからバッチ処理時を選んだときに画像解像度が100%以外の時になぜか書き出されたファイルのサイズが横に延びてしまうという点はバグでしょうか?これって出たりでなかったりしてるんです。この辺りも改善されないと使い勝手が制限されてしまいもったいないです。

今計画しているワークフローはこれまで、処理が全て済んでから確認していた事柄を、全て処理前、Nikon Capture上でしてしまおうというものです。取り込んだ後にファイルネームを書き囲む作業はどうやら逃げるわけにはいかなそうなので(わたしの仕事の場合ですが)どうせなら、ここでほとんどの最適化をやってしまおうというものです。でもこの段階でTIFFに書きだしてしまうと時間がかかり、カメラマンの手が塞がってしまいますうので、もう一回パラメーターを含んだ RAW画像として書きだすのです。それを受けるサーバマシンのフォルダを処理用のマシンに監視させ、バッチ処理をする。後は勝手にやってるだけですから、多少時間がかかっても構わない。その後Photoshopがスクリプトで監視して、最後の仕上げをする。こんなことを準備しています。もし何かあってもRAW画像が残っているのですから、問題はすぐに回避できるはずです。

固定したお薦めのパラメーターは特にありません、というのは撮影者により(お仕事により)かなり異なったワークフローが展開できるはずなので、こうすればよい、ということがなかなか言えないのです。しかし、ホワイトバランス調整、追加RAW調整、アンシャープマスク、を極めれば、(というほどの事はないか)Nikon Capture2はきっと大きな手助けになってくれると信じています。
特にいまだにトーンカーブを極めていない私にとっては基本的な事柄をダイアログに任せて最後に少しトーンカーブを調整するだけで画像を完成できることは大きな福音です。

そうそう、このトーンカーブですが、レベル補正と連動している部分やカーブのアルゴリズムなどは完全にPhotoshopに勝っている(こんな言い方は変かな?)のだけれども、ポイントの打ち方など、今一歩のところもあるとお感じの方もいらっしゃいませんか? この辺りもぜひ次期バージョンでは改善して欲しいところです。

他にも改善して欲しい点として、モニタ上の100%表示をするボタンの追加、画像解像度のダイアログボックスで出力を%指定できるように、上書き保存(別名で保存ではなく)をするとNikon Capture2で読めなくなってしまう点、相変わらずモニタ表示のリドローが遅い点、などが上げられます。また私の個人的な希望ですが、もう少し画像のセレクト(Nikon View4でも出来るのですが、一度ハードディスクに読み込んでしまうともうキュムラスのお世話になるしかないのが少々残念。また大量に撮影してきたときにカードが限界点に来てとにかくハードディスクにバックアップをとり、カードを消去する場合があるのでこの辺りもできたら、ぜひ改善して欲しい点ですね)をしやすく作り込めたら嬉しいですね。

少々環境設定が分かりにくいというお話も良く聞きますので簡単に解説します。


上手に使えば、失敗の少ない、そしていかにも扱いやすいドライバソフトとデータ形式をニコンさんは提供してくれたと感じています。私もNIKON D1Xになってから一時、JPEGワークフローに切り替えたのですが、Nikon Capture2に出会い、またRAWデータワークフローに戻してしまいました。それとキュムラスと連携してきたことも私にとっては好都合でした。キュムラスで画像を管理しだすととても快適な環境が手に入りますが、それなりに余裕を持ったストレージを用意してあげなくてはなりません。また、画像の削除、追加なども全てキュムラス上で行うことが必要になります。ファインダー上でファイルを移動したり、削除しないように気をつけなくてはなりません。キュムラスから画像を開くには“アセットを開く”コマンドを使います。(昔はオリジナルと言ってました。)

キュムラスの使いこなし、そしてIT-500との連携を現在模索中です。そのうちにまた発表できると思います。

                                                  2001/8/30鹿野宏